勇者カムル
澄んだ眼をした少年であった。
その青い眼には微塵の濁りもなかった。
整った顔立ちには妖艶な美しささえ感じるほどだった。
「おい、カムル。今日は、王様に会いに行く日だぞ。準備は出来たか?」
「はい、父上。」
その少年の名はカムル。14歳の夏の日の事であった。
ジェーバス城。
かつて、伝説の剣士達が魔王サムールを封じたとされる地に建てられた城である。
「父上、王様は一体なんで私達を呼んだのでしょう?」
「さあな、よくは分からんが、最近、出没しだした魔獣達の事じゃねーか?」
「鍛冶屋の私達が何故?」
「お前は余計な心配するんじゃねーよ」
近隣する他国の城と比べても強固な造りのジェーバス城を眼前にしたと
ころで一人の兵士が歩み寄ってきた。
「よく御出でくださいました、イガリス殿。さあ、王様がお待ちです」
兵士の後について、真紅の絨毯を歩み、王の間へと通された。
「よくきてくれた、鍛冶屋、いや戦士イガリスよ!」
「えっ?」
カムルは、驚きをかくせず、隣に立つ父の顔を振り向いたが、王の手
前慌てて正面に向き直った。
「実は、最近、出没しだした魔獣どもの事なんだが。」
「ええ、存じております。私も苦々しく思っていたところです。」
「おお、そうか、兵士の調査によると、城の北西にある洞窟に住み着
いてるらしいのだ!,そこで、イガリスに魔獣の討伐をお願いしたいのだ
が・・・やってくれるか?」
「はい、王の命令がでなくとも、討伐に出る準備は進めておりました。」
「やってくれるか!では、頼んだぞイガリスよ」
「ところで、その少年は?」
美しい少年に興味を抑えきれずに王は聞いた。
「こちらは、我が息子のカムルでございます。」
「今回の討伐には息子のカムルと出陣したいと思っております。」
「おお、そなたの事だ、さぞ技を叩き込んできたのであろう。」
「イガリス、そしてカムルよ魔獣討伐の件よろしくたのむぞ。」
「承知いたしました。では」
そういうと、イガリスはスッと後ろを向いて王の間を後にした。
慌てて、カムルもイガリスの後を追った。
これが、後に伝説に語り継がれる勇者カムルの初陣であった。
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